ALRA  Dresden

 祖父のカメラである。私の曾祖父母や生まれたばかりの母親の写真が残っていることから、大正末期〜昭和初期頃のものと思われる。

 カメラ本体のストラップに『ALRA DRESDEN』と刻印されており、レンズには『munchen』の文字があることからドイツ製と思われるが詳細は不明である。f=12cm、F=6.8のレンズにはうっすらと曇りが生じているがピントグラスには今だシャープな像を結んでいる。シャッターも健在でしっかりとした手ごたえでシャッターチャージされ、軽やかな音で切れてくれる。また、皮製のシャバラも柔軟性を失っておらず、穴も開いてはいない。一度試写してみたいがフィルムではなく乾板を使用するためそれができないのが残念である。

 祖母から聞いた話しによると、現像はホーロー製バットの中で、雨戸を締め切って行ない、焼付けは印画紙と乾板を重ね、電球の下にかざすというやり方だった。祖母はこの焼付け作業をよく手伝ったとのことであった。
 現在、カメラのみ自分の手元に引き取り、時々は取り出して動作確認などをしているが、実家には当時のホーロー製バットや未使用乾板、撮影済みの乾板やプリントが残されている。ただ、撮影済み乾板は風化が激しく、乳剤が剥がれてきているし、プリントも退色が進んでいる。それらの一部を新聞社で元写真部長だった親戚の者が35mm版に複写して再プリントしてくれている。

 

<ケース&本体>

 皮製のケースはしっかりとした作りをしている。ストラップが切れてしまっているが金具は健在である。

 本体は折りたたむとこの様になる。躯体はアルミ材を基本とし革張りとなっている。内部構造ではステンレス材が各所に使用されており、鉄材は少なくほとんどさびている個所はない。

<レンズを出した状態>
 前蓋を開け、レンズ部分をスライドさせて出した状態。皮製の蛇腹はまだ艶があり柔軟である。ただ奥の方に少々カビがある。
 縦構図、横構図に対応するよう、二ヶ所に三脚用のカメラネジがある。
 ピントはレール上のレンズを前後にスライドさせ、裏蓋のピントグラスで確認する。撮影時はピントグラスを抜き取り、かわりに乾板をセット、遮光板を抜いた後シャッターを切る。

<正面の状態>

 レンズ右上の円形の光って見えるものはビューファインダーである。直角ミラーで上から覗く方式。覗き口の横には水準器があり水平が分かる。縦構図、横構図どちらでも使用できるよう、90度回転可能な構造になっている。

 レンズ下の金具は、レンズを本体からレールに引き出すとき、指でつまんでスライドさせるもの。前蓋の向かって左先端付近のノブはピント調整用。他にレンズを上下および左右に移動させるノブがある。

<レンズおよびシャッター>

 レンズ右のレバーはシャッターチャージ。上はシャッターダイヤル。左上の金具はレリーズ取り付け部。左はシャッターの切り替えで、通常のシャッタースピード(M)、タイム(D)、バルブ(Z)。左下にはシャッターレバーがある。

<性能表>
名称  ALRA DRESDEN (?)
型式  (?)
レンズ  レンズの刻印
Steinheil Munchen Doppelanastigmat Unofocal 1:6.8 f=12cm No.142657
シャッター  シャッターの刻印
COMPUR D.R.F.No.258646 D.R.G.M.
M=1,1/2,1/5,1/10,1/25,1/50,1/100,1/250
D=バルブ  Z=タイム
ピント合せ  ピントグラス
ファインダー  直角ビューファインダー
露出計  なし
感光剤  乾板使用。
 乾板サイズ=81×106.5×厚み1.0mm
 乾板ホルダーには撮影番号が分かるよう、番号の刻印あり。
その他  レリーズあり

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